2005年10月18日

初診日と発病日 その3

(3)発病日について

 昭和61年4月に実施された年金制度改正より前の厚生年金制度では、
 疾病にかかりまたは負傷した日(以下「発病日」といいます)において、
 厚生年金に加入していることが、障害年金を受給するための要件と
 されていました。

 つまり、昭和61年3月以前の「資格要件」をみる上でのキーポイントは、
 現在のように“初診日”ではなく、“発病日”とされていたわけです。

 ただし、「納付要件」をみる上でのキーポイントになるのは、具体的な
 日付を特定することが難しい“発病日”ではなく、“初診日”となります。
 なお、初診日が昭和61年3月以前の場合は、現行制度とは「納付要件」
 が異なりますので、ご注意ください。


 一般的に傷病の発病時期は、自覚的、他覚的に症状が認められたときと
 するのが原則です。

 ただし、先天性の傷病にあっては、潜在的な発病が認められたとしても
 通常に勤務していた場合は、症状が自覚されたとき、あるいは検査で
 異常が発見されたときをもって発病とされます。


 具体的には次のような場合が発病日とされます。

 @ 医師の診療を受ける前に本人の自覚症状が現れた場合 
                                  ――― その日

 A 自覚症状が現れずに医師の診療を受けた場合 ――― 初診日

 B 慢性的疾患(糖尿病、腎不全等)のように、傷病の病歴が
    引き続いている場合 ――― 最も古い発病日

 C 過去の傷病が治癒(社会的治癒を含む)し再発した場合 
                                ――― 再発した日

 D 健康診断で異常が発見された場合 ――― 健康診断日

 E 事故の場合 ――― 事故が発生した日

 F 鉱山または石工等の業務に従事した厚生年金の被保険者
    期間があるじん肺症(じん肺結核を含む)の場合 
                   ――― 被保険者期間中の発病とされる

  ※じん肺症は、永年にわたり鉱山または石工等の業務に従事し、
   珪石粉塵を徐々に吸入した結果発する業務上の疾病です。
   なお、確認資料として、労働基準局発行のじん肺管理区分決定
   通知書及びじん肺健康診断結果証明書の添付が必要です。

 G 先天性心疾患、網膜色素変性症等で、具体的な症状が
    出現した場合 ――― その日

 H 先天性股関節脱臼で、青年期以降になって変形性股関節症が
    発症した場合 ――― 症状が発症した日

  ※先天性股関節脱臼で、完全脱臼のまま成育した場合は、厚生
   年金の被保険者期間外の発病となります。
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2005年10月14日

初診日と発病日 その2

(2)因果関係について

 前の疾病または負傷がなかったならば、後の疾病(負傷は含まれません)
 が起こらなかったであろうと認められる場合は、「因果関係あり」とみて、
 前後の傷病は同じ傷病として取り扱われます。

 したがって、「因果関係あり」の場合は、前の傷病の“初診日”がキー
 ポイントとなります。

 また、前後の傷病に因果関係が認められない場合は、「因果関係なし」と
 みて、前後の傷病は別の傷病として取り扱われます。

 したがって、「因果関係なし」の場合は、後の疾病の“初診日”がキー
 ポイントとなります。
 

 これらの一部を例示すると、次のようなものがあります。

 1.「因果関係あり」として取り扱われるもの

    前の傷病    ―――    後の疾病

  @ 糖尿病  ―――  三大合併症(糖尿病性 網膜症・腎症・神経障害)
                  糖尿病性動脈閉塞症 等

  A ネフローゼを含む糸球体腎炎  ―――  慢性腎不全(※1)
    多発性のう胞腎、腎盂腎炎

  B 肝  炎  ―――  肝硬変

  C 結核の化学療法による副作用  ―――  聴力障害

  D 手術等による輸血  ―――  肝  炎

  E ステロイドの投薬による副作用  ―――  大腿骨頭無腐性壊死

  F 事故または脳血管疾患  ―――  精神障害

  G 肺疾患の手術  ―――  呼吸不全(※1)

  H 原発性悪性新生物  ―――  転移性悪性新生物(※2)

  (※1) 前後の期間が長い場合も含まれます。

  (※2) 原発巣と組織上一致することが確認できたものに限ります。


 2.「因果関係なし」として取り扱われるもの

    前の傷病    ―×―    後の疾病

  @ 高血圧  ―×―  脳内出血または脳梗塞

  A 近  視  ―×―  黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮
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2005年10月11日

初診日と発病日 その1

 「障害年金の受給要件 その1」で初診日についての具体例を示しましたが、
 “初診日”は「資格要件」と「納付要件」をみる上でのキーポイントとなります。

 例えば、ある疾病(仮に“A病”とします)の初診日(と思っていた日)以前に
 かかっていた疾病(仮に“B病”とします)があったときに、A病とB病の間に
 何らかの因果関係がある場合は、A病の初診日ではなく、B病の初診日が
 キーポイントになることがあるのです。

 初診日が変わると、必然的に「資格要件」と「納付要件」も違ってきます。
 もしかすると、A病の初診日には厚生年金に加入していた人が、B病の
 初診日には国民年金加入者だったり、あるいは保険料未納だったりする
 こともあるかも知れません。また、その逆の例もあることでしょう。

 このように、初診日の違いが障害年金を受給できるかどうかの「運命の
 分かれ道」となることも、十分あり得るのです。

 今回から3回シリーズで、“初診日”に関連した事項についてお届けします。
 なお、このシリーズで取り上げる内容は、「内部疾患」に限ったものでは
 ありません。


(1)再発または継続について

 @ 再発とは

  過去の傷病が治ったのち再び悪化した場合をいい、過去の傷病とは別の
  傷病として取り扱われます。

  なお、医学的に治っていないと認められる場合であっても、「社会的
  治癒(※)」が認められる場合は「再発」として取り扱われます。

  したがって、「再発」の場合は、再び悪化したときの“初診日”がキー
  ポイントとなります。


 A 継続とは

  過去の傷病が治っていないと認められる場合をいい、過去の傷病と同じ
  傷病として取り扱われます。

  したがって、「継続」の場合は、過去の傷病の“初診日”がキーポイント
  となります。


(※)社会的治癒とは

  医療を行う必要がなくなり、無症状で医療を受けることなく相当期間
  (傷病にもよりますが、少なくとも5年以上)経過している場合をいいます。

  したがって、薬治下にある場合には、一般社会における労働に従事して
  いる状態にあっても社会的治癒とは認められません。

  また、治療の必要がありながら単に経済的理由などによって医療を受け
  ないものについては、たとえ社会復帰していたとしても、社会的治癒が
  あったとは認められません。
posted by オカタツ at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 初診日と発病日