「その2」では「納付要件」の【原則】を次のように示しました。
『 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者
期間がある場合には、被保険者期間のうち、保険料納付済期間と
保険料免除期間・学生納付特例期間・若年者納付猶予期間を合算した
期間が3分の2以上あること 』
今回は、“被保険者期間のうち、諸々の期間の合計が3分の2以上”を
数式になぞらえて、「分子と分母が、いつからいつまでの期間を示して
いるのか」について、例を交えてご説明します。
つまり、分子は「保険料納付済期間、保険料免除期間、学生納付特例
期間及び若年者納付猶予期間を合算した期間(以下「保険料納付済
期間等」とします)」で、分母は「被保険者期間」ということになり、その
比の値が“ 2/3以上”であれば納付要件を満たす、というわけです。
【基本例】
分子:初診日の前々月までの保険料納付済期間等の月数
分母:20歳になった月以後、初診日の前々月までの月数
【例外1】20歳前に厚生年金加入期間がある場合
(たとえば、中学・高校を卒業して会社勤めをした方など)
【基本例】の分子・分母に、20歳前の厚生年金加入期間が加わります。
【例外2】任意加入期間に任意加入しなかった期間がある場合
@昭和61年3月以前に厚生年金加入者に扶養されていた専業
主婦であったときの任意未加入期間
A平成3年3月以前に学生であったときの任意未加入期間
【基本例】の分子・分母から、任意未加入期間を控除します。
【例外3】60歳以上65歳未満で国内居住中の元被保険者の場合
(たとえば、定年退職した方や専業主婦だった方など)
分子:60歳(60歳以後退職の場合は、退職時)までの保険料納付済
期間等の月数
分母:20歳になった月以後、60歳(60歳以後退職の場合は、退職時)
までの月数
※なお、【例外1】から【例外3】が、様々な組み合わせで混在する場合も
あります。
以上「納付要件」について、3回のシリーズでお届けしましたが、これらは
あくまでも今現在の制度に即した内容となっており、昭和61年の年金制度
改正前の要件や、制度改正後の経過措置をすべて網羅しているものでは
ありません。
たとえば、昭和51年9月以前は、「初診日の前日」ではなく「障害認定日の
前日」で納付要件をみていましたし、平成3年4月以前の納付要件では、
“基準月”という考え方をしていました。もちろん、これら以外にも
現行制度と異なるものが数多く存在します。
しかしながら、このブログでそれらすべての内容を網羅することは、到底
できるものではありませんので、初診日が昭和61年の改正前の事例等に
つきましては、社会保険事務所等あるいは成書で「納付要件」をご確認
いただきますようお願いいたします。
2005年09月07日
2005年09月04日
障害年金の受給要件 その3
前回「その2」で示しました「納付要件」は、あくまでも【原則】であり、
経過措置として次のような【特例】があります。
『 初診日が平成28年3月31日以前(#3)の場合は、直近の1年間(#4)に
保険料の未納期間がない(#5)こと。 ただし、初診日において65歳未満で
ある場合に限る(#6)。』
(#3)〜(#6)について、簡単に説明したいと思います。
(#3)「平成28年3月31日以前」とは・・・
昭和61年に年金制度の改正が行われた際に、「経過的特例措置」として
実施されたもので、元々は「昭和61(1986)年4月1日から平成8(1996)年
3月31日まで」の10年間とされていました。その後「平成18年3月31日
まで」、そして今回(平成18年4月)の改正で「平成28年3月31日まで」と
いうように、随時繰り延べられてきたものです。
したがって、過去に何年も保険料の未納期間があって【原則】の要件を
満たさない方であったとしても、もしかすると「初診日前の直近1年余りの
期間だけ保険料を納めていた」ということで、「納付要件」を満たすことが
あるかも知れません。
(#4)「直近の1年間」とは・・・
「初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間」という
ことです。
なぜ“前日”及び“前々月”なのかについては、前回「その2」の(#1)
及び(#2)で説明を加えたとおりです。
(#5)「未納期間がない」とは・・・
「保険料納付済期間または保険料免除期間、学生納付特例期間、若年者
納付猶予期間のうちの、いずれかの期間である」ということです。
つまり、保険料を納めた期間に限らず、保険料を免除あるいは猶予された
期間についても、「納付要件」を満たすことになるわけです。
ただし、所得が一定額以下だったり、学生だったりという理由で、免除
あるいは猶予される要件を満たしていたとしても、市町村役場に申請
手続きをしていない限り「未納」扱いになります。
(#6)「初診日において65歳未満である場合に限る」とは・・・
初診日に65歳以上の厚生年金加入者の場合、【特例】の要件(直近1年
要件)で「納付要件」を満たすことはできず、あくまでも【原則】の要件
(3分の2要件)を満たさなければならない、ということです。
ちなみに、初診日に65歳以上の厚生年金加入者が、「納付要件」及び
「障害状態要件」を満たしたとしても、障害基礎年金は支給されません。
経過措置として次のような【特例】があります。
『 初診日が平成28年3月31日以前(#3)の場合は、直近の1年間(#4)に
保険料の未納期間がない(#5)こと。 ただし、初診日において65歳未満で
ある場合に限る(#6)。』
(#3)〜(#6)について、簡単に説明したいと思います。
(#3)「平成28年3月31日以前」とは・・・
昭和61年に年金制度の改正が行われた際に、「経過的特例措置」として
実施されたもので、元々は「昭和61(1986)年4月1日から平成8(1996)年
3月31日まで」の10年間とされていました。その後「平成18年3月31日
まで」、そして今回(平成18年4月)の改正で「平成28年3月31日まで」と
いうように、随時繰り延べられてきたものです。
したがって、過去に何年も保険料の未納期間があって【原則】の要件を
満たさない方であったとしても、もしかすると「初診日前の直近1年余りの
期間だけ保険料を納めていた」ということで、「納付要件」を満たすことが
あるかも知れません。
(#4)「直近の1年間」とは・・・
「初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間」という
ことです。
なぜ“前日”及び“前々月”なのかについては、前回「その2」の(#1)
及び(#2)で説明を加えたとおりです。
(#5)「未納期間がない」とは・・・
「保険料納付済期間または保険料免除期間、学生納付特例期間、若年者
納付猶予期間のうちの、いずれかの期間である」ということです。
つまり、保険料を納めた期間に限らず、保険料を免除あるいは猶予された
期間についても、「納付要件」を満たすことになるわけです。
ただし、所得が一定額以下だったり、学生だったりという理由で、免除
あるいは猶予される要件を満たしていたとしても、市町村役場に申請
手続きをしていない限り「未納」扱いになります。
(#6)「初診日において65歳未満である場合に限る」とは・・・
初診日に65歳以上の厚生年金加入者の場合、【特例】の要件(直近1年
要件)で「納付要件」を満たすことはできず、あくまでも【原則】の要件
(3分の2要件)を満たさなければならない、ということです。
ちなみに、初診日に65歳以上の厚生年金加入者が、「納付要件」及び
「障害状態要件」を満たしたとしても、障害基礎年金は支給されません。
2005年09月01日
障害年金の受給要件 その2
2つ目の要件である納付要件(保険料納付要件)について、今日から
3回のシリーズでお届けします。
「納付要件」とは、初診日の前日の時点で“ある一定”の保険料を
納めた期間があったか、という要件です。
法律条文での表現も交えながら、もう少し詳しく説明しますと、
次のようになります。(なお、国民年金と厚生年金は同様の扱いです)
『 初診日の前日において(#1)、初診日の属する月の前々月までに
被保険者期間がある場合(#2)には、被保険者期間のうち、保険料
納付済期間と保険料免除期間・学生納付特例期間・若年者納付
猶予期間を合算した期間が3分の2以上あること 』
(#1)と(#2)について、“もしもこうだったら”という逆説的な観点
から、具体的に説明してみたいと思います。
(#1)もしも「初診日において」であったとすると・・・
大ケガをしたり、重い病気が初診で判明したりした場合、その日に
滞納していた保険料をさかのぼって納めることによって、納付要件を
満たしてしまうことがあるかもしれません。
「初診日の前日」とすることによって、このような法の抜け道を
排除することができるわけです。
(#2)もしも「初診日の属する月の“前月”までに被保険者期間が
ある場合」だったとしたら・・・
国民年金の保険料は原則として「当月分を翌月末日までに納付」する
ことになっていますから、「前月分は今月末までに納めるつもりだった」
と言い訳することも可能です。
「前々月」とすることによって、このような言い訳を排除できるわけ
です。
たとえば、20歳になったばかりの“国民年金第1号被保険者”の場合、
次のような具体例が考えられます。
『 7月15日に20歳になったA君は、2ヵ月後の9月に交通事故で
障害等級に該当するような大ケガをしました。初診日の属する月の
前々月(7月)に被保険者期間があるので、8月末までに7月分の
保険料を納めていなかったA君は、納付要件を満たさないことになり、
障害基礎年金を受給することができませんでした。 』
ちなみに、次のような例では「被保険者期間が“ある”場合」とはならない
ので、「保険料を納めてはいないけれども、未納期間はない」という風に
解釈され、納付要件を満たすことになります。
『 7月15日に20歳になったB君は、1ヵ月後の8月に交通事故で
障害等級に該当するような大ケガをしました。初診日の属する月の
前々月(6月)には被保険者期間がないので、納付要件を満たすことに
なり、障害基礎年金を受給することができました。 』
3回のシリーズでお届けします。
「納付要件」とは、初診日の前日の時点で“ある一定”の保険料を
納めた期間があったか、という要件です。
法律条文での表現も交えながら、もう少し詳しく説明しますと、
次のようになります。(なお、国民年金と厚生年金は同様の扱いです)
『 初診日の前日において(#1)、初診日の属する月の前々月までに
被保険者期間がある場合(#2)には、被保険者期間のうち、保険料
納付済期間と保険料免除期間・学生納付特例期間・若年者納付
猶予期間を合算した期間が3分の2以上あること 』
(#1)と(#2)について、“もしもこうだったら”という逆説的な観点
から、具体的に説明してみたいと思います。
(#1)もしも「初診日において」であったとすると・・・
大ケガをしたり、重い病気が初診で判明したりした場合、その日に
滞納していた保険料をさかのぼって納めることによって、納付要件を
満たしてしまうことがあるかもしれません。
「初診日の前日」とすることによって、このような法の抜け道を
排除することができるわけです。
(#2)もしも「初診日の属する月の“前月”までに被保険者期間が
ある場合」だったとしたら・・・
国民年金の保険料は原則として「当月分を翌月末日までに納付」する
ことになっていますから、「前月分は今月末までに納めるつもりだった」
と言い訳することも可能です。
「前々月」とすることによって、このような言い訳を排除できるわけ
です。
たとえば、20歳になったばかりの“国民年金第1号被保険者”の場合、
次のような具体例が考えられます。
『 7月15日に20歳になったA君は、2ヵ月後の9月に交通事故で
障害等級に該当するような大ケガをしました。初診日の属する月の
前々月(7月)に被保険者期間があるので、8月末までに7月分の
保険料を納めていなかったA君は、納付要件を満たさないことになり、
障害基礎年金を受給することができませんでした。 』
ちなみに、次のような例では「被保険者期間が“ある”場合」とはならない
ので、「保険料を納めてはいないけれども、未納期間はない」という風に
解釈され、納付要件を満たすことになります。
『 7月15日に20歳になったB君は、1ヵ月後の8月に交通事故で
障害等級に該当するような大ケガをしました。初診日の属する月の
前々月(6月)には被保険者期間がないので、納付要件を満たすことに
なり、障害基礎年金を受給することができました。 』
2005年08月29日
障害年金の受給要件 その1
今日から「障害年金の受給要件」についてシリーズでお話しします。
「年金制度の基礎 その2」で「障害年金受給のための3要件のうち、
B障害状態要件がこのブログのテーマである」ことをお話ししましたが、
他の2つの要件についても、あらかじめ簡単に触れておきたいと思います。
今回は、1つ目の要件である「資格要件(加入要件、初診日要件)」に
ついてです。(なお、この要件は内部疾患に限ったものではありません)
「資格要件」とは、国民年金または厚生年金加入期間中に【初診日】が
あるかどうか、という要件です。
(ちなみに、昭和61年3月までの厚生年金では、疾病にかかりまたは
負傷した日【発病日】が加入期間中だったか、が要件とされていました)
(注)上記にかかわらず、次の場合には「障害基礎年金」受給のための
「資格要件」を満たします。
ア.20歳前に初診日がある場合(厚生年金加入者を除く)
イ.60歳以上65歳未満で国内居住中に初診日がある場合(同 上)
ただし、老齢基礎年金を繰上げ請求していない場合に限ります。
【初診日】
障害の原因になった傷病につき、初めて医師または歯科医師(以下
「医師等」という)の診療を受けた日をいいます。
また「年金制度の基礎 その1」の表で示した「国民年金加入者と
厚生年金加入者の受給年金の違い」は、“初診日において”どちらに
加入していたかで決まるわけですから、極めて重要な意味を持ちます。
「初診日」を具体的に示すと次のような場合があります。
@初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)
A同一傷病で転医があった場合は、最初に医師等の診療を受けた日
B同一傷病で傷病が治癒し再発した場合は、再発し医師等の診療を
受けた日
C健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は、
その健康診断日
D誤診の場合は正確な傷病名が確定した日ではなく、最初に誤診を
した医師等の診療を受けた日
Eじん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日
F障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる
傷病があるときは、最初の傷病の初診日
「年金制度の基礎 その2」で「障害年金受給のための3要件のうち、
B障害状態要件がこのブログのテーマである」ことをお話ししましたが、
他の2つの要件についても、あらかじめ簡単に触れておきたいと思います。
今回は、1つ目の要件である「資格要件(加入要件、初診日要件)」に
ついてです。(なお、この要件は内部疾患に限ったものではありません)
「資格要件」とは、国民年金または厚生年金加入期間中に【初診日】が
あるかどうか、という要件です。
(ちなみに、昭和61年3月までの厚生年金では、疾病にかかりまたは
負傷した日【発病日】が加入期間中だったか、が要件とされていました)
(注)上記にかかわらず、次の場合には「障害基礎年金」受給のための
「資格要件」を満たします。
ア.20歳前に初診日がある場合(厚生年金加入者を除く)
イ.60歳以上65歳未満で国内居住中に初診日がある場合(同 上)
ただし、老齢基礎年金を繰上げ請求していない場合に限ります。
【初診日】
障害の原因になった傷病につき、初めて医師または歯科医師(以下
「医師等」という)の診療を受けた日をいいます。
また「年金制度の基礎 その1」の表で示した「国民年金加入者と
厚生年金加入者の受給年金の違い」は、“初診日において”どちらに
加入していたかで決まるわけですから、極めて重要な意味を持ちます。
「初診日」を具体的に示すと次のような場合があります。
@初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)
A同一傷病で転医があった場合は、最初に医師等の診療を受けた日
B同一傷病で傷病が治癒し再発した場合は、再発し医師等の診療を
受けた日
C健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は、
その健康診断日
D誤診の場合は正確な傷病名が確定した日ではなく、最初に誤診を
した医師等の診療を受けた日
Eじん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日
F障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる
傷病があるときは、最初の傷病の初診日

