2005年09月07日

障害年金の受給要件 その4

「その2」では「納付要件」の【原則】を次のように示しました。

『 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者
期間がある場合には、被保険者期間のうち、保険料納付済期間と
保険料免除期間・学生納付特例期間・若年者納付猶予期間を合算した
期間が3分の2以上あること 』

今回は、“被保険者期間のうち、諸々の期間の合計が3分の2以上”を
数式になぞらえて、「分子と分母が、いつからいつまでの期間を示して
いるのか」について、例を交えてご説明します。

つまり、分子は「保険料納付済期間、保険料免除期間、学生納付特例
期間及び若年者納付猶予期間を合算した期間(以下「保険料納付済
期間等」とします)」で、分母は「被保険者期間」ということになり、その
比の値が“ 2/3以上”であれば納付要件を満たす、というわけです。

【基本例】

  分子:初診日の前々月までの保険料納付済期間等の月数
 
  分母:20歳になった月以後、初診日の前々月までの月数


【例外1】20歳前に厚生年金加入期間がある場合
    (たとえば、中学・高校を卒業して会社勤めをした方など)

  【基本例】の分子・分母に、20歳前の厚生年金加入期間が加わります。


【例外2】任意加入期間に任意加入しなかった期間がある場合

    @昭和61年3月以前に厚生年金加入者に扶養されていた専業
     主婦であったときの任意未加入期間
    
    A平成3年3月以前に学生であったときの任意未加入期間
     
  【基本例】の分子・分母から、任意未加入期間を控除します。


【例外3】60歳以上65歳未満で国内居住中の元被保険者の場合
    (たとえば、定年退職した方や専業主婦だった方など)

  分子:60歳(60歳以後退職の場合は、退職時)までの保険料納付済
     期間等の月数

  分母:20歳になった月以後、60歳(60歳以後退職の場合は、退職時)
     までの月数

 ※なお、【例外1】から【例外3】が、様々な組み合わせで混在する場合も
  あります。


以上「納付要件」について、3回のシリーズでお届けしましたが、これらは
あくまでも今現在の制度に即した内容となっており、昭和61年の年金制度
改正前の要件や、制度改正後の経過措置をすべて網羅しているものでは
ありません。

たとえば、昭和51年9月以前は、「初診日の前日」ではなく「障害認定日の
前日」で納付要件をみていましたし、平成3年4月以前の納付要件では、
“基準月”という考え方をしていました。もちろん、これら以外にも
現行制度と異なるものが数多く存在します。

しかしながら、このブログでそれらすべての内容を網羅することは、到底
できるものではありませんので、初診日が昭和61年の改正前の事例等に
つきましては、社会保険事務所等あるいは成書で「納付要件」をご確認
いただきますようお願いいたします。
posted by オカタツ at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 障害年金の受給要件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月04日

障害年金の受給要件 その3

前回「その2」で示しました「納付要件」は、あくまでも【原則】であり、
経過措置として次のような【特例】があります。

『 初診日が平成28年3月31日以前(#3)の場合は、直近の1年間(#4)に
保険料の未納期間がない(#5)こと。 ただし、初診日において65歳未満で
ある場合に限る
(#6)。』

(#3)〜(#6)について、簡単に説明したいと思います。

(#3)「平成28年3月31日以前」とは・・・

 昭和61年に年金制度の改正が行われた際に、「経過的特例措置」として
 実施されたもので、元々は「昭和61(1986)年4月1日から平成8(1996)年
 3月31日まで」の10年間とされていました。その後「平成18年3月31日
 まで」、そして今回(平成18年4月)の改正で「平成28年3月31日まで」と
 いうように、随時繰り延べられてきたものです。

 したがって、過去に何年も保険料の未納期間があって【原則】の要件を
 満たさない方であったとしても、もしかすると「初診日前の直近1年余りの
 期間だけ保険料を納めていた」ということで、「納付要件」を満たすことが
 あるかも知れません。

(#4)「直近の1年間」とは・・・

 「初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間」という
 ことです。

 なぜ“前日”及び“前々月”なのかについては、前回「その2」の(#1)
 及び(#2)で説明を加えたとおりです。

(#5)「未納期間がない」とは・・・

 「保険料納付済期間または保険料免除期間学生納付特例期間若年者
 納付猶予期間
のうちの、いずれかの期間である」ということです。

 つまり、保険料を納めた期間に限らず、保険料を免除あるいは猶予された
 期間についても、「納付要件」を満たすことになるわけです。

 ただし、所得が一定額以下だったり、学生だったりという理由で、免除
 あるいは猶予される要件を満たしていたとしても、市町村役場に申請
 手続きをしていない限り「未納」扱いになります。

(#6)「初診日において65歳未満である場合に限る」とは・・・

 初診日に65歳以上の厚生年金加入者の場合、【特例】の要件(直近1年
 要件)で「納付要件」を満たすことはできず、あくまでも【原則】の要件
 (3分の2要件)を満たさなければならない、ということです。

 ちなみに、初診日に65歳以上の厚生年金加入者が、「納付要件」及び
 「障害状態要件」を満たしたとしても、障害基礎年金は支給されません。
posted by オカタツ at 20:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 障害年金の受給要件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月01日

障害年金の受給要件 その2

2つ目の要件である納付要件(保険料納付要件)について、今日から
3回のシリーズでお届けします。

「納付要件」とは、初診日の前日の時点で“ある一定”の保険料を
納めた期間があったか、という要件です。

法律条文での表現も交えながら、もう少し詳しく説明しますと、
次のようになります。(なお、国民年金と厚生年金は同様の扱いです)

初診日の前日において(#1)、初診日の属する月の前々月までに
 被保険者期間がある場合
(#2)には、被保険者期間のうち、保険料
 納付済期間と保険料免除期間学生納付特例期間若年者納付
 猶予期間
を合算した期間が3分の2以上あること 』

(#1)と(#2)について、“もしもこうだったら”という逆説的な観点
から、具体的に説明してみたいと思います。

(#1)もしも「初診日において」であったとすると・・・
  
 大ケガをしたり、重い病気が初診で判明したりした場合、その日に
 滞納していた保険料をさかのぼって納めることによって、納付要件を
 満たしてしまうことがあるかもしれません。

 「初診日の前日」とすることによって、このような法の抜け道を
 排除することができるわけです。

(#2)もしも「初診日の属する月の“前月”までに被保険者期間が
 ある場合」だったとしたら・・・

 国民年金の保険料は原則として「当月分を翌月末日までに納付」する
 ことになっていますから、「前月分は今月末までに納めるつもりだった」
 と言い訳することも可能です。

 「前々月」とすることによって、このような言い訳を排除できるわけ
 です。

 たとえば、20歳になったばかりの“国民年金第1号被保険者”の場合、
 次のような具体例が考えられます。
 
 『 7月15日に20歳になったA君は、2ヵ月後の9月に交通事故で
 障害等級に該当するような大ケガをしました。初診日の属する月の
 前々月(7月)に被保険者期間があるので、8月末までに7月分の
 保険料を納めていなかったA君は、納付要件を満たさないことになり、
 障害基礎年金を受給することができませんでした。 』

 ちなみに、次のような例では「被保険者期間が“ある”場合」とはならない
 ので、「保険料を納めてはいないけれども、未納期間はない」という風に
 解釈され、納付要件を満たすことになります。

 『 7月15日に20歳になったB君は、1ヵ月後の8月に交通事故で
 障害等級に該当するような大ケガをしました。初診日の属する月の
 前々月(6月)には被保険者期間がないので、納付要件を満たすことに
 なり、障害基礎年金を受給することができました。 』
posted by オカタツ at 18:19| Comment(3) | TrackBack(0) | 障害年金の受給要件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月29日

障害年金の受給要件 その1

今日から「障害年金の受給要件」についてシリーズでお話しします。

「年金制度の基礎 その2」で「障害年金受給のための3要件のうち、
B障害状態要件がこのブログのテーマである」ことをお話ししましたが、
他の2つの要件についても、あらかじめ簡単に触れておきたいと思います。

今回は、1つ目の要件である「資格要件(加入要件、初診日要件)」に
ついてです。(なお、この要件は内部疾患に限ったものではありません)

「資格要件」とは、国民年金または厚生年金加入期間中に【初診日】が
あるかどうか、という要件です。
(ちなみに、昭和61年3月までの厚生年金では、疾病にかかりまたは
負傷した日【発病日】が加入期間中だったか、が要件とされていました)

(注)上記にかかわらず、次の場合には「障害基礎年金」受給のための
  「資格要件」を満たします。

 ア.20歳前に初診日がある場合(厚生年金加入者を除く)
   
 イ.60歳以上65歳未満で国内居住中に初診日がある場合(同 上)
   ただし、老齢基礎年金を繰上げ請求していない場合に限ります。   

【初診日】
 障害の原因になった傷病につき、初めて医師または歯科医師(以下
 「医師等」という)の診療を受けた日をいいます。

 また「年金制度の基礎 その1」の表で示した「国民年金加入者と
 厚生年金加入者の受給年金の違い」は、“初診日において”どちらに
 加入していたかで決まるわけですから、極めて重要な意味を持ちます。

「初診日」を具体的に示すと次のような場合があります。

 @初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)

 A同一傷病で転医があった場合は、最初に医師等の診療を受けた日

 B同一傷病で傷病が治癒し再発した場合は、再発し医師等の診療を
  受けた日

 C健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は、
  その健康診断日

 D誤診の場合は正確な傷病名が確定した日ではなく、最初に誤診を
  した医師等の診療を受けた日

 Eじん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日

 F障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる
  傷病があるときは、最初の傷病の初診日
posted by オカタツ at 02:49| Comment(15) | TrackBack(0) | 障害年金の受給要件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする